お店にとって大事な土地に引越すという選択。
Cさんはさっそく、近くの駅前にある店舗を見て回りました。 リサーチにリサーチを重ねて、自分がどのような店舗でどういったスタイルの営業をすればよいのかが見えてきました。 Cさんが決めた新たな店舗の運営方針は、次のようんあものでした。
・新たに店舗を借りようとしている地域の特色は、ランチタイムに食べにくるお客さんが多いので、ランチタイムの集客に全力を注ぐ
・店舗のサイズは小さくても構わないので、その分「回転率」を上げるためにテーブル席は少なく、カウンター席をメインにする
・必ず、1階部分の店舗を借りる
・間口の広さは狭くても構わないので、店の前の道路の広さにこだわる
Cさんに限らず、繁華街の飲食店の損益を大きく左右するのは、「ランチタイムの営業」にあると言われています。 1時間という短い時間にどれだけ客を回転させるかという「回転率」にこだわってカウンター式の店舗にすることを決めたのは、とてもよかったのかも知れません。 飲食店を運営する際にネックとなる人件費も、カウンター式の店舗であれば結構削ることが出来ます。 外食産業の中でも、特に客の回転率が高いと言われる牛丼チェーンは、この方式を採用しています。 ホールに従業員が一人もいない…という状況は、サービスという観点からはちょっと殺風景に見えるかもしれませんが「セルフサービス&カウンター方式」を取り入れることはラーメン屋や牛丼屋にとって必要なことなのかも知れません。 Cさんのお店のように、広いスペースで営業していては、とてもそうしたスタイルを維持していくことは困難なのですから、新しく借りる店舗は、以前ほど広い店舗でなくても良いのです。
Cさんのようにランチタイムに集客をしたい店舗の多くは、1階部分に店舗を構えます。 ランチをどこで取ろうかな…と考えながら歩いている人々を、お店に呼び込むためには、1階の店舗であることが大前提です。 1階と2階の集客力の差は数倍にも上ると言われますが、賃料の開きはそれほどでもない…ということを考えると、一見客の集客をメインにするランチ営業にとっては、「1階店舗」というのは、欠かすことのできない重要な要素であるということが言えるのでしょう。 もちろんCさんも、そうした大前提をふまえて店舗を選びました。 Cさんが借りたのは、1坪1万5000円の25坪(家賃はなんと37万5000円です)という小さな店舗でしたが、一日の集客は平均客単価700円で約100人くらいという店舗になりましたので、今後も充分やっていけそうな気がします。 今まで営業していた店舗を貸し出す決意をして、新たに店舗の引越しを決めたCさんの例は、引越しによる飲食店の成功例の最たるものでしょう。 「親から受け継いだ店だから…」 そう思って、今までと同じ場所での営業にこだわって集客力が低下し、暖簾をたたまなければならなくなった店舗が多い中、Cさんの決断はとてもよかったのではないかと思います。 親から受け継いだ店を守る…ということは、その場所での営業にこだわるということではなく、暖簾を守っていくことなのだという考え方が出来たCさんだから、成功できたのかもしれません。